思い出を漢詩に
2011年10月8日土曜日
京都市保健事業協同組合という団体があって、当院もここに加盟しています。医療物品を購入したり医療廃棄物の処理を委託している団体で、京都の多くの医療機関が加盟しています。毎月、機関誌が発行されていて、会員の医師や歯科医師の書画や陶芸や写真が表紙に使われています。今月号の表紙に私の書を掲載して頂けました。
もう随分前になりますが、中国の安徽省に行きました。生薬の集散地である亳州(はくしゅう)市を訪問したり、安徽中医学院の附属病院を見学した後、世界遺産である黄山(こうざん)を訪れました。右写真の様に仙人が住んでいるような岩山が連なっている高い山々です。
黄山の上のホテルに一泊し、まだ暗いうちに起きて岩道を歩いて日の出を見に行きました。黄山は天候が変化しやすく日の出が見られないことも多いそうですが、運良く紫色に染まる東の雲の間から昇る日の出を見ることが出来ました。岩山が朝日の赤い光に照らされて美しい光景でした。
その時の印象を日本に帰ってから漢詩にしていたのですが、それを今回の機関誌の表紙用に半紙に書いて、自作の落款を押捺しました。
【読み下し文】
遠雲、紫気を満たし
旭日、黄山を照らす
徽州、霧下に沈み
古の医郷、寂然たり
徽州(きしゅう)とは 黄山の南側にある風光明媚な地域で、明代〜清代にかけて著名な学者や名医を輩出した地域です。黄山の北側の平原では戦乱が繰り返されてきたため、高い山々の壁に守られた黄山の南側の徽州に多くの知識人が逃げて来て、この地で学術文化を開花させたのです。黄山の山の上から南の下界を眺めると霧の下に徽州が広がっています。「効用雑事」の(24)(25)(26)にも徽州の関連記事がありますから、関心がおありでしたら是非御覧下さい。