ミュンヘンからの素敵な贈り物
〜ein schönes Geschenk aus München〜
2016年2月24日 水曜日
左が4年前にミュンヘンで頂いたもの。左は今回頂いたもの。 先週末、ミュンヘンからドイツ人の御主人と日本人の奥様の御夫婦が京都にいらっしゃいました。夕方、南座の前で待ち合わせて近くのお店で京都の冬の味覚、蕪蒸しなどを食べながら楽しく歓談しました。
4年前になりますが、母校自治医科大学の恩師(今は名誉教授になられていますが)が誘って下さり、恩師のドイツ留学時代の学友であった御主人のミュンヘンの御自宅で泊まらせていただいたのです。町並みや建物の美しいミュンヘンの町を散策したり、チュービンゲンやスイスまで足を延ばしました。その時に記念に頂いたのが写真左のバイエルン州の紋章が入っているジョッキ(左側)です。
底面にバイエルン州銀行と書いてある。 この蓋付きの陶器のジョッキはクルーク(Krug)と言われる南ドイツでよく使われる物だそうです。このバイエルン州紋章入りの美しいKrugの底を見ると、なんとBayerische Landesbank(バイエルン州銀行)と書いてあります。つまり銀行の販促品なのですね。日本の銀行からこんなものもらえることは考えられないですよね。ドイツらしくて粋だなあと思います。
さて先週、御夫妻と夕食を御一緒した後で、なんともう一つKrugを私へのプレゼントにわざわざミュンヘンから京都まで重い物を持って下さったのです。私が先のバイエルン州紋章のKrugを気に入っていたのを覚えていて下さったのかと嬉しく思いました。さて、今回頂いたKrug(右側)はまた先の物とは趣を異にして、ドイツ人らしい理屈っぽいユーモアと茶目っ気が素敵です。写真のようにKrugに注がれたビールを見ながら、飲もうかどうか考えている男性の絵が描かれていて、以下の様なドイツ語文が書かれています。
Trinke ich noch einen ? もう一杯、飲むかな?
Mein Magen sagt ja, 私の胃はイエス(ja)と言うが、
mein Kopf sagt nein. 私の頭はノー(nein)と言う。
Mein Kopf ist klüger als mein Magen, 私の頭は私の胃より賢い(klüger)
und der Klügere gibt nach. そして、賢い方が譲歩(nachgeben)するのだ。
Also trinke ich noch einen さすれば、もう一杯飲むとしよう
飲むときはこんな風に蓋を開けていただきます。 何かするのに理屈や理由をつけたがる気質というか国民性のようなものが感じられますが、なんともかわいいです。真面目さと本音が交錯していて、私は個人的にこんなユーモアに親近感を覚えます。米国や英国のアングロサクソンのユーモアとは違うなあと感じます。
ところでこのKrugはビール好きの人には優れものだと思います。Krugを冷蔵庫で冷やしてからビールを注げば保冷性が高いのです。しばらく時間が経ったらビールが生ぬるくなっていた、などとなりにくいのです。それから、Krugには必ず付いている蓋。調べてみると、これはどうやらビールに含まれる麦芽糖の匂を嗅ぎつけて寄ってくるハチが、ビールの中に飛び込んでこないようにするためのようです。(ドイツではお店の外でビールを飲むことも多いようですから、寄ってくる蜂は困るんですね。)それになにより、Krugは南ドイツの文化の一つなのでしょう。抹茶を嗜む人が茶碗や棗などの茶器を楽しむように、Krugそのものを楽しめます。
思うにKrugは京都の鴨川の川床でも重宝するのではないかと思います。真夏の夕方、鴨川沿いの川床料理を食べていると、店の灯に虫が寄ってきて(流石に蜂はあまり来ませんが)、料理やジョッキに虫が停まることがあって、ちょっと嫌な気がするものです。Krugを使えば、少なくともヒールにだけは虫が飛び込んでこなくて(ビールの溺れなくて)済みそうです。まだ、京都ではKrugに注いだビールを出す店に私はお目にかかったことはありませんが・・・