葛根湯でカゼを治すコツ
2010年12月26日日曜日
葛根湯は薬局でも市販されている身近なカゼの漢方薬です。しかし、どんなカゼにも効くわけではありませんし、かえってカゼをこじらせてしまうこともあります。正しく使用すれば数時間でカゼを治すことができる処方ですので、葛根湯が効果的なカゼとはどのようなカゼなのか、説明したいと思います。
以下の点をチェックして葛根湯を服用すればいいでしょう。
1)悪寒がする。特に項肩や背筋のあたり。(悪熱はない。)
2)まだ発熱していないか、していても高熱ではない。
3)咽の痛みや咳は無い。
4)頭痛や関節痛はあっても良い。
5)咽の渇きは無い。
6)自分の手で腋や胸を触れてみて、汗ばんでいない。
漢方医の診察であればこれに脈や舌などの診察所見を加えてより正確に判断するのですが、1)〜6)の症状が全て満たされていたら、かなり高い確率で葛根湯が効くはずです。
それでは、あなたのカゼが葛根湯の適応症だとして、手持ちの葛根湯をより効かせる方法について説明します。
1)白湯に溶かして服用する。(湯呑みに軽く一杯程度の湯量で可)
2)服用したら布団をかぶる(或いは厚着して体温が逃げないようにする)
3)1回目の服用後30分を経過してもまだ悪寒が続き、腋や胸が汗ばんでこない場合には、更にもう一包白湯で温服する。
汗ばんで悪寒がなくなるまで30分〜1時間おきに服用していきます。悪寒が無くなり身体が熱く感じて腋が少し汗ばんできたらきたら、葛根湯が効いてきた兆しです。温かくしてぐっすり眠ります。目が醒めて汗を沢山かいて、身体が軽くなっていたらカゼは治っています。
4)治療中は生ものや冷たいものを避けて、うどんやお粥のような温かく消化しやすいものを少量摂取する。(食べ過ぎは治癒を遅らせます。)
注意事項
1.狭心症、不整脈、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)でコントロールの悪い人、前立腺肥大症などでおしっこが出にくい人(特に御高齢の方)は自己判断で葛根湯のような麻黄(まおう)」という生薬を含んだ漢方薬は服用しないで下さい。動悸や尿閉(おしっこが出なくなる)といった副作用が起こる場合があります。医師や薬剤師に相談してからにしましょう。
2.上記の治療を1日続けても治らない場合は、葛根湯では効かないカゼです。(葛根湯は超短期決戦の処方なのです。)また、 治療中にのどの痛み、咳が起こってきた場合には、もう葛根湯では対処できない状態になっています。 葛根湯を飲み続けても意味がありませんので、漢方専門医に相談するかお近くの病院を受診するようにして下さい。
3.上記の6)に関して、葛根湯の服用前から汗ばんでいる人は、本当は葛根湯ではなく桂枝湯や桂枝加葛根湯といった別処方(葛根湯から葛根や麻黄を抜いてある処方)の適応症です。これらは葛根湯ほど広く販売されている処方ではありませんので、手持ちの葛根湯を少しずつ(例えば半量ずつ1-2時間の服用間隔をとりながら、悪寒が去るまで)様子を見ながら服用してみればよいでしょう。