太陽系を実感できる朝
2015年12月07日 月曜日
朝4時に起床して朝風呂に入る習慣に変えたのは12年前になります。早寝早起きにしてから、午後の仕事の疲労感が無くなりました。約2千年前の中国の医書である黄帝内経の上古天真論篇には養生法の基本が書かれていて「陰陽ニ法(のっと)ル」というのは、天の陰陽の循環に合わせて早寝早起きするということでもあります。朝風呂で身体を温めてから出かけますが今の季節はまだ外は暗く、月や星々を眺めながら徒歩で出勤しています。
ちょうど今の時期、夜明け前の南東の空に金星がひときわ明るく輝いています。実に美しい。(そう言えば、金星探査機あかつきが今朝金星を回る軌道に入ったようですね。)今朝は金星の右に月が、そのずっと右上に木星が見えました。金星と木星の間の月の右に少し暗いけれども赤く光る火星もはっきり見えました。金星−月−火星−木星がほぼ直線上に並んでいるんですね。それぞれが太陽の周りを(月は地球の周りを)公転している訳ですから、同じ公転面の地球にいる自分からすれば一直線上に並んで見えて当然と言えば当然なのです。しかし、ふと自分と金星、火星、木星、月を繋ぐ線分をイメージすればこれらが同じ平面上にあるのだということが体感できて、自分自身もこの太陽系の一部なんだという不思議な感覚にとらわれます。
まだ小学生だった頃、徳島の田舎の家でコロという名前の雑種の犬を飼っていました。当時はまだドッグフードなど売られていませんでしたから、家族が夕食を終えた後に残飯を金属の器に盛って、当時の私が懐中電灯を灯しながら夜の裏畑の犬小屋にいるコロに持って行っていました。私は当時から犬が好きで、腹を空かしたコロが残飯をガツガツ食べるのを冬の寒い中でも飽きることなくじっと眺めていました。器の底までペロペロ嘗めて食べ終えたコロはやっと落ちつきます。コロの温かい頭と背中を撫でながら、寒い夜はコロを脇に抱えて体温で暖めてもらいながら、冬の星空を眺めていました。天体望遠鏡は親にねだっても買ってもらえなかったけれども、星座観察が好きだったので図鑑で覚えて、コロを撫でながら星空観察をしていました。一番好きだったのが冬の星座のオリオン座でした。“三ツ星”があるからすぐ分かります。三ツ星の真ん中の星の真下に“小三ツ星”が縦に並んでいて、その真ん中は実は星ではなくオリオン大星雲だということを図鑑で知ってからはそれを眺めるのが好きになりました。当時は視力が良かったし、生家が田舎で街灯も少なかったことも幸いして星空観察の条件が整っていたのです。晴れた日の夜、コロの餌やりと星空観察はいつもセットでした。今朝の出勤の時に京都の路地を歩きつつ星々を見ながら、ふとその時の少年の感覚が蘇ってくるのです。懐かしく心地よいひとときです。