研究会のタイトル書
2013年5月3日 金曜日
このゴールデンウィークは診療所を休診にして私も当院の職員も9連休。私はこの連休中、ほぼ毎月のようにある研究会の講演や学会の準備、論文作成のためにパソコンと睨めっこです。
パソコンで目と頭が疲れると、近くの喫茶店に行ったり音楽を聴いたりします。今日は気分を変えてちょっと久しぶりに筆をとりました。3年前程から京都市内で医師と薬剤師を対象に開催している中医学(中国伝統医学)スタイルの漢方研究会の配付資料のタイトル書きです。講演がパソコンとプロジェクターを使ったデジタルですので、配付資料の表紙ぐらいはアナログで、と毛筆の手書きにしました。落款印は以前に自作したものです。
過去3年間の講演では行書のタイトル書きを使っていましたが、出来映えが良くなくて書き直そうと思っていました。しかし、2年半前の当院の開院準備や雑務もあってなかなか時間と気持ちに余裕がありませんでした。ちょうどこの機会にと、今度は楷書で書き直しました。しかし100%楷書というものは実に難しいもので、ちょっぴりだけ行書を混ぜてしまいました。
書家を目指す人は唐の時代の褚遂良や欧陽詢の楷書を研究するそうですが、その書も完璧に均整がとれているとは思えません。逆にパソコンで使われている明朝フォントなどはある意味完璧に均整がとれていますが、こちらは書としての風合いがありません。(デジタルですから仕方ないですね。)楷書で完璧な均整と風合いの二つを実現させることはほぼ不可能に近いのではないかと感じます。
ところで、楷書は音楽でいうとMozartみたいです。プロのオーケストラとアマチュアのオーケストラでは当然差があるのですが、一番歴然とした差を見せつけらるのがMozartの作品だと思います。譜面づらは平易な旋律であっても、音の強弱やリズムを完璧にしないとぎこちなく不自然になったり時には攻撃的(?)に聴こえてしまいます。この違いは何なのか考えるに、やっぱり基礎練習の反復だろうなと思います。物凄い量の基礎練習を欠かさず長年続けてきたことで、書家は均整のとれた味わいのある楷書が書けるようになるし、演奏者は端正で流れるようなMozartを奏でることができるのだろうなと。
(年に数回しか筆をもたない私はなかなか向上しません・・・)