京都は洋食が美味しい(2)
2018年5月14日 月曜日
京都は洋食が美味しい(1)をアップしてもう3ヶ月ちょっと経ちました。時間が経つのが速いなあと感じます。さて、また母校のA先生が京都にいらしたので京都コンサートホールで佐渡裕さん指揮のウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団の演奏会を御一緒して、その後で二人でよく利用する小さいレストランで夕食を食べました。私もA先生もこのお店とシェフのファンです。
【フレンチ食堂 nico】
https://hitosara.com/0006097757/
https://www.sankei.com/west/news/151109/wst1511090053-n1.html
このお店を知った切っ掛けは、5年ほど前だったか当時住んでいた四条烏丸近くの賃貸マンションの郵便受けに入っていたチラシです。何となく気になっていたので、機会を見てちょくちょく利用するようになりました。うちのスタッフも連れて行ったことがあります。そのうち、グルメのA先生にお教えしたらA先生もすっかり気に入ってしまって、研究会や演奏会(栃木から京都までコンサート聴きにいらっしゃるもんなあ〜)で京都にいらした時にここでよく夕食をとるのです。
nicoはランチはやっていないので18時からの夕食のみとなりますが、チャーミングな女性シェフの作る料理は何を食べても美味しいです。有名ホテルや高級レストランよりも美味しい料理がアットホームな雰囲気でリーゾナブルな価格で頂けるのです。シェフはソムリエでもあるので、料理に合ったワインを選んでくれます。ボトルワインもありますが、基本何種類かのグラスワインを用意してくれています。客の好みを聴きながら注文した料理に合ったものを選んでくれるのもワインを知らない私たちには嬉しいです。
さて、上記のURLの産経新聞の紹介記事にも書いてありましたが、絶対お薦めのメニューはカスレです。カスレ(フランス南西部の郷土料理)ただ、これは非常に食べ応えがあるので、いきなりカスレを食べるよりは2品目(少食派の人)か3〜4品目(大食派の人)に食べるのがお薦めです。カスレはフランス南西部の郷土料理だそうで、鴨肉をメインにして豚肉・ソーセージをインゲン豆と一緒に煮込んであって熱々で出てきます。鴨肉を主体に肉のエキスがインゲン豆に染み込んでいるので、肉だけでなくインゲン豆がとても良い味なのです。A先生はこの店でカスレを知って、東京でカスレを出す店を探して食べてみたり、なんと自分でも作ったりしたそうですが、nicoを上回る味のカスレは無かったと断言されていました。(ちなみにA先生はnicoでカスレをお替わりして2杯食べた強者です。)
カスレは定番メニューですが、nicoのメニューは食材の季節に合わせて変わります。先日食べた1品目はホワイトアスパラガスの料理「フランス・ランド産 ホワイトアスパラのチョリソー香る具だくさんソース」です。フランス・ランド産 ホワイトアスパラのチョリソー香る具だくさんソース ★食べられるのは5月だけですよ〜ホワイトアスパラガスの旬は5月始め〜5月末までらしく、ほぼ1ヶ月間の期間限定メニューだそうです。去年も同じ時期にホワイトアスパラガスの料理を頂いて驚くほどの美味しさだったので、今年も5月は外せないと狙ってまたホワイトアスパラガスを食べに来たのでした。
去年のよりデカい!写真では分かりにくいですが、男性の親指ぐらいの太さ(いやもっと太いかも)があります。ほとんど「リコーダー」みたいです。アスパラガスの料理も毎年内容を変えているそうで、去年のふんわりした食感から今年はしゃきしゃきした食感になって、かかっているソースがとても合っていました。このソースがまた絶品で、食べ終えてお皿の上に残っている旨みの染み出したオリーブオイルが勿体ないので、フランスパンでオイルを拭き取って食べるとこれはなんとも言えず美味でした。(シェフ、天才かも?)ホワイトアスパラガスには卵がよく合うそうで、去年のメニューも今年のメニューも使い方は違うけど卵を使っているのだそうです。
2品目は「豚バラ肉とプルーンのワインビネガー煮込み」です。豚バラ肉とプルーンのワインビネガー煮込みこれもソースが豚肉によくあっています。ほんのり甘いソースのこの甘味はプルーンから引き出すのだそうです。豚肉はトロトロに柔らかくて、その脂身自体の自然な甘みとプルーンの甘みにワインビネガーのコクのある酸味が加わって調和が素晴らしいです。野菜も下茹でがきっちり出来ていてちょうどよい柔らかさなので、豚肉のトロトロ感に合っていました。これはオーケストラで例えれば、木管楽器と金管楽器の響きが互いに馴染んでいて、且つ弦楽器群と調和して鳴っているという感じです。来店前に京都コンサートホールで聴いたウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団の演奏みたいです。この料理もお皿の上に残ったソースをパンで拭き取って全部頂きました。
3品目は定番のカスレです。やっぱりnicoに来たらこれを食べないと!カスレは味がしっかりしているので、ワインもしっかりした赤じゃないとワインがカスレに負けてしまうとのことで、シェフのお薦めのグラスワインで頂きました。何度食べても飽きないなあ、nicoのカスレと東洋亭の煮込みハンバーグは。
nicoのシェフ(ソムリエ)はとてもチャーミングな女性です。お店が小さくて座席数も少ないとはいえシェフ一人で料理や客への対応など全てこなしています。私とA先生はいつもカウンター席に座って、シェフの仕事ぶりを観察しているのですが、全ての客の注文を同時並行で調理していく手際の良さを見ていると天性のものを感じます。しかも、カウンターの客(私たちも)と会話しながら、時には東人のA先生に関西弁のレッスン(レッスン1は「あきまへ〜ん」でした!)をしながら料理をするので、まあ大変だろうなあと思います。これは両手両足でパイプオルガンを奏でながら弾き語りをするというような、きっとカール・リヒターでさえもやったことがないであろう弾き語りをしているような感じかも・・・正直私もA先生も、このシェフはひょっとしたら天才かもしれないと思っているのです。料理は出来合いのレシピではなくてシェフが頭のなかで考えて作るそうで、おそらく料理を作る工程や出来上がりの味や食感までが、料理を作る前からシェフの頭の中でシュミレーションされてもう完成していてあとは調理するだけ、なのでは想像しています。このパターン誰かに似ているな・・・ ええと・・・ そうだ、Mozartだ!
さてnicoでお腹いっぱい食べ終えて、A先生が明日は出町柳の柳月堂(古いオーディオのあるクラシック専門の名曲喫茶の老舗、建物の2階にある)に行きたいと言うと、シェフが「柳月堂のクルミパンが柔らかくてとっても美味しいですよ。」と教えてくれました。シェフは学生時代に京阪電車で通学していて、柳月堂でクルミパンを買って食べていたそうなのです。柳月堂は1階がパン屋さんで2階が名曲喫茶です。で、私も翌日予定が無かったのでA先生と柳月堂に行って、売り切れないうちに先にクルミパンを買っておいて、2階に上がって3時間ほど音楽を聴いて(喫茶室でパンを食べるのは御法度なのです)から、私の自宅に移動してまたうちのシステムで音楽を聴きながらクルミパンを食べました。うーん、やっぱり美味しい。冷蔵庫に残っていたお手頃赤ワインが、柳月堂のクルミパンとよく合いました。
次回の京都は洋食が美味しい(3)もお楽しみに。(記事はいつアップされることわかりませんが・・・)
〔参考情報〕nicoに辿り着くには (ちょっと見つけにくい場所なので・・・)
地下鉄烏丸線の四条駅(阪急電車は烏丸駅)を降りて改札を出たらすぐに外に出ずに(ここがコツ)、コンコースとひたすら南に(京都駅の方向)に向かって歩く。突き当たり左側の5番出口の階段を登る。(階段の踊り場にサイゼリアの入口看板があるので目印になります。)階段を登り切った正面が烏丸通り(太い)と仏光寺通り(細い)の交差点です。そこで、仏光寺通りを東に向かって西に5分ほど歩いて行くと、右手に仏光寺の白い塗り壁が見えてきます。その白壁のあたりで左に折れる(高倉通り)通りがあるので、すぐnicoの三色旗(フランス国旗)が店の入口に出ているのが目に入ります。18:00ぴったりに開店です。それまでは中でシェフがひたすら仕込み作業しているのが窓越しに見えます。