京都・漢方専門クリニック 

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当院は中医学を専門とする日本人の漢方専門医が保険診療を行っています。

♪ 就床前の一曲に

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2018年5月19日 土曜日

 10年ほど前に夜更かし習慣を止めて、夜9時就床、朝4時起床と朝風呂の早寝早起き習慣に変えてから疲れなくなりました。ただ、火曜日と金曜日は夜まで診療なので帰宅は8時頃。就床時刻までの1時間で簡単に食事(ご飯など糖質抜きです)を済ませて歯磨きして布団に入ります。寝る前には音楽を聴いて自分を原点にリセットしてから眠りに就くこともここ十数年の習慣です。でも寝る前にシンフォニーやコンチェルトなど聴いてしまったら睡眠時間が短くなって、翌日の診療の集中力を落としてしまいます。そんなときに、3,4分で自分をリセットできる曲を決めていて、この中から1曲を聴いてから布団に入ります。要するにいい年してララバイですね・・・

 いい曲なので昼間忙しくて、ひょっとしてストレスいっぱいの方にもお薦めかと思って、私が好きな寝る前の3曲を御紹介したいと思います。

1)♩『明日の朝 (Morgen)』作曲 リヒャルト・シュトラウスLinkIcon

2)♪『小さな空』作詞作曲 武満徹LinkIcon

3)♫『アヴェ・マリア』作曲 A.ブルックナーLinkIcon



1)『明日の朝 (Morgen)』リヒャルト・シュトラウス 作曲
これは私がいちばん好きな歌曲なのです。ピアノ伴奏も極限まで簡素で美しい。私が普段聴いているのはエディタ・グルベローヴァが歌っているCDですが、Youtubeでは見つけられませんでした。リンクを張ったファリシティー・ロットさんの歌もとても素敵です。2011年4月15日の東京・王子ホールでのリサイタルのアンコールとして歌われたものです。同年3.11の震災津波の1ヶ月後のリサイタルで、ピアノ奏者のグレアム・ジョンソンさんの震災からの日本の復興を願うスピーチが01:18から入っています。(演奏は02:17から)

LinkIcon♪ 歌詞by John Henry Mackay

Und morgen wird die Sonne wieder scheinen,
 明日の朝には太陽がまた輝くことだろう
und auf dem Wege, den ich gehen werde,
 そして私の歩いて行く道で
wird uns, die Glücklichen, sie wieder einen
 幸せな私たちを再び一つにするだろう
inmitten dieser sonnenatmenden Erde...
 太陽の息づくこの大地の中で・・・

Und zu dem Strand, dem weiten, wogenblauen,
 広くて青い波がよせる浜辺へと
werden wir still und langsam niedersteigen,
 静かにゆっくりと降りてゆき
Stumm werden wir uns in die Augen schauen,
 何も語らず互いに目を見つめう
und auf uns sinkt des Glückes stummes Schweigen...
 すると幸せの沈黙が私たちの上に降りてくる


2)『小さな空』武満徹 作詞作曲
 先月4月22日の日曜日にロームシアター京都で開かれたローム・ミュージック・フェスティバル2018で初めて林美智子さん(メゾ・ソプラノ)のステージを聴きました。その時に武満徹さんの歌も初めて生で聴いたのですが、もう目頭が熱くなってしまいました。私の隣に座っていた女性の方はハンカチで涙をぬぐっていました。なんて素晴らしいのだろうと思っていたら、5月4日・5日にびわ湖ホールで開催された近江の春音楽祭2018にも林美智子さんがいらしていて、ロビーで武満徹の歌のみを収録した〜地球は丸いぜ〜というタイトルのCDを販売していたので迷わず買ってうちで聴いています。この『小さな空』はこのCDの1曲目に入っています。この歌を聴くと、私自身が子供の頃イタズラが(かなり)過ぎて、母や祖母からしょっちゅう叱られて家の薄暗い納屋に1時間閉じ込められていたので自然と共感してしまいます。ただ、私が泣きながら納屋の中で見たのは綿のような雲でも、教会のステンドガラスでもなくて、試薬瓶に入った古い漢方生薬のサンプルなのでした。(そんな原体験が今の職業を選ばせたのかも・・・私の生家は代々の薬屋でしたので)子供が泣いた後に見る光景は、大人になっても古くて懐かしい記憶になるものなのでしょうか。
 残念ながら林美智子さんの歌はYoutubeで見つけられなかったのですが、ギター伴奏で同じくメゾ・ソプラノの波多野睦美さんが歌うページを見つけました。(スピーカーアイコンをクリックでYoutubeにリンクしています。)波多野睦美さんの歌も何か素朴でいいなあ。

LinkIcon♪ 歌詞 by 武満徹

1 青空みたら 綿のような雲が
  悲しみをのせて 飛んでいった
  いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
  こどもの頃を 憶いだした

2 夕空みたら 教会の窓の
  ステンドグラスが 真赤に燃えてた
  いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
  こどもの頃を 憶いだしたた

3 夜空をみたら 小さな星が
  涙のように 光っていた
  いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
  こどもの頃を 憶いだした  


3)『アヴェ・マリア』ブルックナー 作曲
ブルックナーはJ.S.バッハと並んで私が一番好きな作曲家なのです。生前はオルガンの名手、今となっては交響曲の大作曲家です。ブルックナーの交響曲第8番(特に3楽章)は私が一番好きな曲です。ただ演奏時間90分の大作なので時間がたっぷりあるときしか全曲を聴くことが出来ません。このアヴェ・マリアはたった3分ほどの合唱曲ですが、音の響きはまさにブルックナーの交響曲に通じる時空を超えた広がりを持っています。とりわけこのSchola Cantorumの歌声は古い教会での音響と相まって実に素晴らしい。時空を超えていくような響きです。

LinkIcon♪ 歌詞 アヴェ・マリアの祈り (現代語和訳 日本カトリック司教団)

Ave Maria, gratia plena;
 めでたしマリア、恩寵に満ちた御方
Dominus tecum;
 主は貴方とともにある
benedicta tu in mulieribus,
 貴方は女性のうちで祝福され
et benedictus fructus ventris tui, Jesus.
 そして胎内の御子イエスも祝福されている

Sancta Maria, Mater Dei,
 聖なるマリア、神の御母よ
ora pro nobis peccatribus,
 我ら罪びとのために祈りたまえ
nunc, et in hora mortis nostrae. Amen.
 今も、そして我らが死する時も アーメン 


 当院にも仕事や人間関係のストレスが溜まり溜まって、本当の自分から遠くに離れて行ってしまって、心の問題を抱えてしまった患者さんがいらしています。漢方薬は身体的なところから働きかけて、結果的に心を和らげるという効き方をしますので、私はそのやり方で患者さんの診療に当たっています。その点、精神科や心療内科の行うカウンセリングが直接心に働きかけるのとは対照的です。そして優れた音楽、歌も直接心(多分ずっと深い部分)に働きかけて、それがストレスを緩和して身体にも良い効果を与えると思います。

 一日の終わり、ちょっとだけ原点からズレてしまっている自分を、ちょこっと原点に引き戻す。そういったことを毎晩毎晩重ねていくことで、遠くに離れて行ってしまわないように自分を見失ってしまわないように。「就床前の一曲」の習慣は、皆様にもお薦めしたい習慣です。