京都・漢方専門クリニック 

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秋の薬草園

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2011年10月23日日曜日

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 京都の東山にある武田薬品の京都薬用植物園に秋の薬草見学に行ってきました。今回で確か4回目の見学ですが、秋に訪れるのは初めてです。

展示棟はとても美しい洋館で
建築部としても貴重なものだそうです。

 まずは、花を咲かせていた薬草の写真です。

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 この一見風変わりな白い花はウコンです。実は皆さん馴染みが深いカレー粉に含まれるターメリックという黄色い粉はこの植物の根茎から採ります。瘀血(血の停滞)を改善する作用があります。

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 ラッキョウの花です。小さいピンク色がとても可愛らしいです。ラッキョウの根は食用としてだけでなく、乾燥させて薤白(がいはく)として漢方薬としても用いられます。痰飲による胸痹(狭心症などの胸の痛みを起こす病気)の治療などに用いられます。(瓜呂薤白半夏湯など。)

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 これも可愛らしい花ですが、ゲンノショウコです。漢字では現之証拠と書いて、下痢を治すはっきりした作用があることを意味しています。これは中医学では用いない日本の民間薬の代表です。

 秋は収斂の季節。植物の多くが秋に栄養分を実や種に収斂させていきます。

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 サッカーボールよりも大きいトウガン(冬瓜)の実です。冬瓜は京料理の食材ですが、漢方ではトウガンの種(冬瓜子:とうがし)を肺癰の治療に用います。肺癰とは膿のような痰が大量に出る病気のことで、現代医学的には慢性気管支炎や気管支拡張症などを指します。

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 枝に連なるようになっている赤い実はクコの実です。干しブドウのように乾燥させてものを食材としても用いますが、漢方薬では枸杞子として滋養強壮に使用します。特に目の疲れや霞目に頻用されます。(杞菊地黄丸など)

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 左側の写真は綿(伯州綿)の花と綿を収穫できる状態になったところです。綿がなっているのを見るのは初めてで感動しました。綿の花は淡い黄色と濃い茶色のコントラストがとても素敵です。

CIMG0439.jpg 綿を摘んで指で押し広げてみました。中心に種が隠れているのが見えますか。来年の春に撒いたら、秋には収穫できるそうです。どんどん増やして布団一枚作れるようになるまでは大変だそうですが、お人形さんの座布団ぐらいはすぐ作れるようになりますよ(笑)と植物園の方が仰っていました。

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 この小さい茶色い実はハトムギです。ハトムギはハトムギ茶や雑穀御飯などとして利用されますが、漢方生薬としては薏苡仁(ヨクイニン)として滲湿健脾(湿気の欝滞を除いて消化器系を健やかにする作用)の目的に使用します。漢方で皮膚病を治療する際には特によく用います。

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 トチュウ(杜仲)の枝にはたくさんの種がなっていました。トチュウは雌雄異株の植物で、種がなっているのは雌株の木です。写真は種ですが、漢方処方として用いるのはトチュウの樹皮です。

 漢方医学的に腎虚証といわれる病態によって起こる腰痛や虚弱の改善に良く用います。特に御高齢の方の腰痛や足腰の弱さを治療するときの常用薬です。杜仲茶として販売されているものは樹皮ではなく、杜仲の葉を使っています。

 この薬用植物園では2,500種類の薬用植物を5人の職員が手入れをしているそうです。一人あたり500種類です!植物園のお仕事は一つ一つの植物に適した水やり、土壌、温度、日当たりを管理してやらないといけないわけですから、大変なお仕事だと思います。お蔭で私のような漢方を専門にしている医師や薬剤師が生きた薬用植物学に対する理解を深めることが出来てとても有り難いと思いました。