クリスマスによせて
2010年12月25日土曜日
私はキリスト教徒ではないのですが、クリスマスについてちょっと変わった見方で綴ってみたいと思います。クリスマスはキリストの誕生日とされています。さて12月25日というのは冬至明けにあたります。冬至というのは一年で一番日照時間が短い。冬至を陰陽説で表現すると、陽(太陽の出ている時間)が一番短くて、陰(太陽が沈んでいる時間)が一番長い”陰極”の日です。
右の図は古代中国の「易経」の64卦の一つで、”地雷復”という卦です。真ん中に切れ込みの入った5つの陰爻(いんこう)が、一番下の1本の陽爻(ようこう)の上に乗っている形です。この卦は陰が極まった冬至を過ぎて、地に陽気が復活し始めていることを表しています。これを一陽来復(いちようらいふく)といい、冬至を過ぎて間もないちょうど今頃の時期にあたります。また、様々な苦難(陰)の後に、やっとささやかな希望や喜びが(陽)が帰ってきたことの例えでもあります。 自然の営みに例えれば、秋に地面に落ちた植物の種が、春を前にして地面の中では既にエネルギーを発動し始めているということです。
日頃から陰陽を考えながら診療をしている漢方医である私は、 キリストの生誕は時代的宗教的にそのような意味があったのだろうかと、ついそんな風に想像してしまうのです。2010年前、キリストの誕生という出来事は正に一陽の来復だったのかもしれません。