京都・漢方専門クリニック 

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バッハとカスレの週末
Am Wochenende mit Bach und Cassoulet

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2018年11月12日 月曜日

 京都市内の自宅のすぐ近くに最近新しいホテルがオープンしたので、昨日の日曜日は朝食バイキングを食べに行ってみました。健康のために糖質制限食をやっていて(もちろん漢方薬も毎日服用)、バイキングは理想的な糖質制限食ができるので便利です。周りほとんど観光客で外国人が多くて色々な言語が聞こえてくるので、ふと「ここは京都?」と妙な感覚に囚われます。

 さて今日の午後はびわ湖ホールで佐藤俊介さんのヴァイオリン・リサイタル。佐藤さんは古楽演奏に力を注いでこられて、今年オランダ・バッハ協会の第6代音楽監督に就任したほどの演奏家。このリサイタルもオール・バッハ の曲目で、無伴奏ヴァイオリンのソナタ(第2番)とパルティータ(第3番&第2番)のプログラム。パルティータ第2番の有名なシャコンヌは僕が学生時代から大好き(ブルックナー交響曲第8番とマーラー交響曲第9番とともに30数年間不動のMy Best3)だった至宝の名曲です。ヴァイオリンのソリストは誰しも、このシャコンヌに演奏家としてまた人として全てを賭けて取り組むのだと思います。

 一曲目のソナタ第2番。今まで他の演奏家の生演奏やCD、LPでもあまり聴いたことがない装飾音、アクセントや間の取り方がヴィブラートを抑えた古楽奏法と相まってもの凄く新鮮。2曲目のパルティータ第3番で休憩を挿んでパルティータ第2番。佐藤さんのシャコンヌはそれが元々は舞曲であることを強く印象付ける弾き方で最後まで実に熱くて深い演奏でした。CD佐藤俊介.JPGCD佐藤俊介.JPGロビーで佐藤さんの演奏するバッハの無伴奏全曲を買って、サインをして頂きました。なんとも茶目っ気のあるサイン。読めないけど・・・(笑)演奏会の後も拍手が続いて、何と拍手が自然とシンクロしてしまい(ウィーンフィルのニューイヤー・コンサートの恒例「ラデツキー行進曲」の時みたいに)、アンコールを3曲も演奏してくれました。最後のアンコール曲では「今日は(6曲)全曲演奏ではないんですけど〜」とジョークも聞かせてくれました。

 今までLPやCDでシェリング、シゲティ、グリュミオー、クレーメル、ズスケ、チョン•キョンファ、ジギスヴァルト•クイケン、寺神戸亮さん他の演奏を耳にしてどの演奏も好きですが、佐藤さんのシャコンヌは(他の曲も)強く印象に残って、バッハは自由な熱血漢の人だったんじゃないかと感じました。そしていいバッハ演奏を聴かせて貰った時にいつも思うのは、やっぱりバッハは偉大だということ。人間の感情はもとより、人と自然の生命の根っこにある宇宙の見えざる姿をたった一台のヴァイオリンで奏でるのですから。

 さて、今日月曜日は休診日ですが午前中は職場に行って診療以外の仕事。(患者さんの紹介状作成や諸々の雑務。)午後は前からやろうやろうと思っていたけどちょっと難しそうで延び延びになっていた作業を2つ。

作業その① 「レーザー光セッターによるスピーカー配置の調整」
 オーディオ•ファンでないと何のこっちゃ?かもしれませんが。オーディオの左右のスピーカーから出る音が、リスニング•ポイント(ソファで私の耳があるあたり)で焦点を結ぶように、レーザー•ポインターの光でスピーカーの向きや配置をmmレベルまで調整するのです。(ちょっとクレイジーじゃないかと思われそうですが・・・)これをやる前と後では音の臨場感が断然違うのですから、体験して見ないと判りません。高校の物理で習った 波長(λ)=音速(v)/周波数(f) を考えてみれば、音速340m/secとして、例えばオーケストラが演奏前に行うチューンニングの“A”の音は多くは440Hzなので波長は0.773m(77.3cm)になります。もし左右のスピーカーの位置が1cmズレていたとしたら、1 ÷ 77.3 = 0.129 つまり1.3%の分だけ音のズレが生じることになります。さらにシンセサイザーのような電子楽器とは違って、アコースティック楽器や人の歌声は倍音が入るので440Hzの基音にはそれの整数倍の音が加味されて(例えば2倍音なら880Hz、3倍音なら1320Hz・・・)音に美しさが出てきます。計算すると2倍音なら波長は半分の38.6cmでズレ2.6%、3倍音は25.6cmで3.9%・・・になります。このズレが音の定位を妨げるので、スピーカーから出る音の臨場感を邪魔するのです。そこで、これを限りなく0%に近づけると定位がキッチリする。すると例えば恰も目の前で歌手が歌っているかのような臨場感が出たり、オーケストラ曲の時はそれぞれの楽器奏者がどこら辺りに居るのかが分かってまるでコンサートホールで生演奏を聴いているかのような感覚が得られるのです。

 セッティングは大変かと思っていましたが、やってみたら1時間ちょっとで完了。ぐっと音がリアルになりました。面白いことに、左右のスピーカーからの音はリスニングポイント(ソファに座った時の自分の鼻先のあたりが、左右のスピーカーを結ぶ線分を底辺とする二等辺三角形の頂点になる)のただ一点で焦点を結んでいるのですが、部屋全体の音もリアルになりました。これは大阪日本橋のオーディオ専門店逸品館の名物社長さんがオーディオ試聴会の時に仰っていて、その時は「ほんまかいな?」と思いましたが、自宅でやってみたら本当でした。オーディオルームの隣のキッチンでも音がぐっと良く聴こえるようになりました。では、キッチンに移動し作業その②へ。

作業その② 「料理」
 たかが料理ト云フ勿レ(漢文調)。南フランスの郷土料理『カスレ』のなのであ〜る。エッヘン!(^^)! カスレは鴨肉や豚肉、ベーコン、ソーセージを炒めたものを白インゲン豆、トマト、玉葱などの野菜と一緒に煮込んで、肉汁を白インゲンにしみ込ませてから、それをオーブンで焼くというちょっと手間のかかる料理です。とりわけ鴨肉の旨味とトマトが染み込んだ白インゲンはほくほくしてとても美味しいのです。このブログの「京都は洋食が美味しい その2」で書いたフレンチ食堂nicoのシェフが作るカスレが美味しくて、一度自分でも作ってみようかと考えていたのです。

 インターネットでいくつかあるレシピを探してまずは食材探しから。白インゲンがなかなか売っていません。高島屋のデパ地下にも置いてなくて、やっと見つけたのがZest御池のKALDIで売っていた乾燥白インゲンでした。白インゲンは一晩水に浸けて置けば良いのですが、豚肉は前日から塩漬けにして当日水で塩抜きして、水けを除くので手間が掛かります。
カスレ オーブンに入れる前.jpgカスレ オーブンに入れる前.jpg煮込みを終えて、これからオーブンに入れます。
 「その①」で良い音になったオーディオでジギルヴァルト•クイケンがチェロの替わりにヴィオロンチェロ•ダ•スパラ(流しのギーター弾きみたいに肩ヒモを付けてヴィオラみたいに弾くチェロの御先祖にあたる古楽器)で弾くバッハの無伴奏チェロ組曲を聴きながら、只管カスレに取り組むこと2時間半近く。何と第1番から第6番までの全6曲(昨日の佐藤さんのリサイタルではないですが)を聴き終えたジャストその時にやっとカスレは完成! ちょっと疲れた (-。-;)

 さてお味は。美味い!! カスレと赤ワイン.jpgカスレと赤ワイン.jpgカスレ完成!ローリエを取り去り忘れたままオーブンに入れてしまって、黒焦げになったローリエ2枚は御愛嬌?nicoのシェフの言うようにカスレにはフルボディのしっかりした赤ワインが合います。なぜか隣に土井の志ば漬けが・・・あれっ、けど白インゲン硬いんとちゃう?美味いのは私の料理の才能のせいではなくて、高島屋の鴨肉と伊勢丹のイタリア•フェアで買ったベーコンのお蔭です(笑)白インゲンが硬かったのは私の料理の腕が未熟だから。それにしてもnicoのシェフはどうやってあのようなほくほくでトマトで紅く染まって肉汁たっぷり染み込んだ白インゲンにできるんやろか?今度店に行ったら伝授してもらおう。それにしても、フレンチのレパートリーが一つ出来そうな手応えはありました!

 料理は楽しい。暇とヤル気がシンクロしたらまた何か作ろう!そうだ。ロッシーニ(有名なオペラ「ウイリアム・テル」を作曲したのを最後にオペラの作曲は止めて、44歳で音楽会から引退し、以後北大路魯山人みたいな美食とレストラン経営を始めた変った経歴のイタリア人作曲家)が考案したというフォアグラとトリュフを使った牛ヒレ肉のロッシーニ風にチャレンジしてみようかな。ここ(LinkIconフレンチ・キュイジーヌ・ティアレ)で食べたとき美味しくてリーゾナブルだったので。


【追記】最近買って良かったCD
バッハが私淑したというドイツの作曲家ブクステフーデのオルガン曲を聴いてみたいと思って買ったのがこれ。大当たり!音が明瞭で響きが素晴らしい。今まで聴いてきたオルガン曲のCDやLPではなんとなく音がモコモコ篭もっていて、教会での録音はこんなものかと思っていましたが、このCDのオルガンの音は違います。CDブクステフーデ鈴木雅明.jpgCDブクステフーデ鈴木雅明.jpg演奏者はバッハコレギウム・ジャパンの鈴木雅明さんで、弾いているオルガンは北ドイツのノルデン市にある聖ルドゲリ教会にあるもの。オルガンの制作者のアルプ・シュニットガー(1648-1719)は当時のオルガン製作の名工だったそうで、ブクステフーデ自身が憧れていた人らしい。お薦めの一枚です。