京都・漢方専門クリニック 

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当院は中医学を専門とする日本人の漢方専門医が保険診療を行っています。

陰部の痒み

しつこい陰部の痒みの漢方医学的な病態と治療を概説します。

 陰部の痒みは男女や年齢の区別なく起こります。発疹がある場合と無い場合があります。発疹がある場合には、湿疹やオムツかぶれの他に、白癬菌やカンジダ菌などのカビの感染や尖圭(せんけい)コンジローマなどのウイルス感染が原因のことがあります。いずれも皮膚科的な治療で治りますし、稀に陰部の皮膚癌の一種のこともありますから、先ずは皮膚科医の診察を受けられることをお勧めします。

 漢方治療を希望されて来院する患者さんの多くは、発疹が無いけれどもしつこい陰部の痒みに悩まされている人です。(掻きむしって赤くなっている場合もあります。)成人男女だけでなく子供さんにもしばしば見られます。多くは夏に悪化する傾向があります。中医学的には陰部を巡る足厥陰肝経という経絡に湿熱邪気が欝滞している場合が多く、竜胆潟肝湯や二妙散といった漢方薬で治療します。苦参(くじん)という生薬の煎液の外用(入浴時などにガーゼに染み込ませて局所を洗う)を併用するとかなり効果的です。湿熱ではなく寒湿邪気の欝滞で生じる陰部搔痒感の患者さんもいます。こちらは比較的女性に多いようで、帯下(おりもの)を伴っている場合があります。苓姜朮甘湯や完帯湯など下半身の寒湿を除く漢方薬の内服に加えて、蛇床子(じゃしょうし)という生薬の煎液の外用を併用すればかなり効果的です。