京都・漢方専門クリニック 

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目まい(めまい、眩暈)

目まいの症状と救急医療から見た注意点、目まいの漢方医学的な病態と治療について概説します。

A307_110.jpg 上述の耳鳴りにもいろいろな鳴り方があるように、目まい(めまい、眩暈)も人によって様々です。一つは目の前が暗くなって一瞬意識が遠のいていく感覚です。眩(げん)という字は目の前が暗くなること、暈(うん)という字は意識がぼんやりしてしまうことを指していています。二つめは「天井が回る」ような回転性の目まいがあります。これは非常に激しくて嘔吐と伴うこともしばしばです。三つめはフワフワ感、あるいは体が自然と傾いてくような感覚になる目まいです。

 注意しておいて頂きたいことは、突然起こった激しい目まいでは重大な救急疾患の場合があるということです。例えば、一つ目の意識が遠のくタイプの目まいですが、徐脈性の不整脈(洞不全症候群や房室ブロックなど)や一過性脳虚血発作などで起こります。いずれも心臓や脳に重大な病気があることの危険信号ですから、速やかに救急医療機関を受診しなければいけません。また、二つめの激しい回転性目まいは、例えば小脳出血や梗塞の可能性がありあっという間に危険な状態に陥ることがあるのです。突然の目まいには、漢方薬ではなく西洋医学的な救急医療が優先されるのです。

 漢方医を受診する目まい患者さんは慢性的に目まいをくり返してなかなか治らない方です。メニエル病や良性発作性頭位眩暈症(BPPV)といったように既に耳鼻科などで診断が付いている方も少なくありませんが、多くは西洋医学的に原因不明の患者さんです。西洋医学は原因が突き止められないと治療方法が無いことが弱点です。そのような場合には漢方治療が本領発揮です。

 漢方医学的な目まいの病態も様々です。風痰上擾という証の患者さんは潜在的に脾の機能低下があり、痰飲が生じて頭に昇り目まいを起こします。舌に膩苔(じたい)というベットリした苔が付着していたり、滑脈という特徴的な脈が現れることが特徴です。半夏白朮天麻湯を中心とした漢方薬で治療します。脾や腎が冷えて寒飲(冷えた水気の停滞)が生じて目まいを起こす場合は、苓桂朮甘湯や真武湯などで治療します。このタイプの患者さんは平素から水分の過剰摂取をしている方が少なくありません。血虚や陰虚によって内風が生じて目まいを起こす患者さんには、七物降下湯や鎮肝熄風湯といった漢方薬を中心に治療します。