京都・漢方専門クリニック 

【健康保険適応】 

 診察予約 075−352−3737


当院は中医学を専門とする日本人の漢方専門医が保険診療を行っています。

おねしょ(夜尿症)

小児のおねしょの漢方医学的な病態と治療について概説します。

 子供のおねしょは多くの場合自然と起こらなくなっていくのですが、小学生になっても続いていると心理的負担になってしまいます。今夜もまたおねしょするのではないかという不安がストレスになって、かえって治りを悪くすることもあります。また、兄弟姉妹の方に親の関心が向きすぎていないか、なにか自分に関心を向けて欲しいようにごねたり、いたずらをしたりしていないか、思い返してみることも必要です。おねしょには、夕方以降の水分摂取を控えることも有効で、子供さんに自信をつけてあげることも大事です。また、腹が冷えるとおねしょしやすくなるので、腹巻きをつけて寝ることも良いでしょう。

 中医学の観点から、おねしょの子供さんを診ていると、大きく二つのタイプがあるようです。一つは子供なりの心理的ストレスで先の夜泣きの項目でお話しした肝気鬱結です。抑肝散を中心とする漢方薬で治療します。

 もう一つのタイプは体格の華奢(きゃしゃ)な子供さんに多いのですが、消化器系の虚弱体質です。他で解説しましたが、中医学において消化器系は「脾」が司っています、脾の気は上に昇る性質があり、体をシャキッとしたり臓器が下垂しないように保持したりする働きがあり、尿が下に漏れないように升提(しょうてい)しているのです。脾気が衰えると脾気虚、更には中気下陥という病態になって、子供さんによってはおねしょという形で症状が現れます。補中益気湯を中心とする漢方薬で治療します。多くの場合、数日服用すれば効果が現れます。高齢者の尿もれのように腎虚を背景とするケースは稀です。病態が全く異なるのです。