腰痛・膝関節痛
慢性的な腰痛や膝の痛みの漢方治療について簡単に紹介します。
腰や膝の痛みといえば針灸治療を思い浮かべる人が多いかも知れませんが、効果が持続しないという患者さんが多くいらっしゃいます。漢方薬でいったん改善すれば良い状態が持続しやすいのが漢方治療の特徴です。特に高齢者の腰痛や膝関節痛は加齢による変化を伴っている場合が多く、漢方治療の良い適応になります。
疲労に伴う腰痛は「腎虚証」が中心です。熟地黄、山茱萸、杜仲など補腎の生薬を主体とした処方で治療します。椅子から立ち上がる時や歩き始めに感じる腰痛は瘀血(おけつ)が関わっていることが多く、桃仁、紅花、延胡索、牛膝など活血薬を主体にした処方で治療します。過去の交通事故やケガの影響で痛みが続いている人の痛みもしばしば瘀血が関わっています。腰が冷えて重く感じるようであれば寒湿が下半身に停滞していることが多く、苓姜朮甘湯や真武湯といった漢方薬で治療します。
このほかにも漢方医学的に様々な複雑な病態があります。漢方専門医の診察によって個々の患者さんの「証」を判別し、一つ一つ生薬を選別してオーダーメードで治療します。