京都・漢方専門クリニック 

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鼻水(鼻漏)

鼻水(鼻漏)の病態における肺と脾の関係、鼻水の漢方治療について概説します。

A306_065.jpg 中医学の蔵象学説は、身体各部の器官(外)と臓腑(内)の関連性について論じていますが、その中で「鼻」という感覚器官は「肺」という臓腑と関連しています。これを「肺は鼻に開竅(かいきょう)する。」と言います。また、「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」という言葉があります。(先に“痰”の項目でも出てきました。)

 五臓のうち脾は主に飲食物の消化吸収を司る臓腑なのですが、なんらかの要因で脾の機能が低下している人は、飲食物が充分処理しきれずに、湿が欝滞しそれが痰や飲に変化していきます。生じた痰飲は脾ではなく肺に貯留し結果として鼻漏という症状が現れるのです。ですから、鼻の病気は中医学的には「肺」の病証として治療することが多いのです。

 鼻水のことを鼻漏(びろう)と言います。中医学ではサラサラした水っぽい鼻漏のことを鼻鼽(びきゅう)、ドロドロして色のついた鼻漏は鼻淵(びえん)と呼びます。鼻鼽も鼻淵ももともとは肺に貯留した湿気から生じてできたものです。鼻鼽、すなわちっぽい鼻水は、寒飲といって冷えた水分の停滞で、鼻カゼや春先の花粉症の症状としてよく見られます。肺や脾を温めながら寒飲を除く小青竜湯や苓甘姜味辛夏仁湯といった漢方薬を中心にして治療します。鼻淵、すなわちドロドロした鼻汁は、肺熱や胃熱と痰濁が併存している場合が多く、肺胃の熱を冷ましながら痰濁を除く漢方薬で治療します。代表的な処方は葦茎湯です。