京都・漢方専門クリニック 

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鼻づまり(鼻閉)

鼻と関係の深い肺の働きと、鼻づまり(鼻閉)の漢方治療について概説します。

A306_070.jpg 先の鼻水の項目でお話ししたように、中医学的には鼻は肺と関係が深い器官です。ですから、鼻づまりも肺の病証として治療することが多いのです。肺は気の動き(気機といいます)に対して、宣発と粛降という2つの相反する動きをします。

 宣発とは気や津液(生理的水分)を体全体に布散する働きで、噴水が水を吹き上げるように、気を体の上外の方向に動かします。一方、粛降は気や津液を体の下の方に降ろす働きです。不要な水も肺の粛降の働きによって、膀胱まで下ろされ尿の形として排泄されます。つまり肺は単独で気の昇降をコントロールするのです。これを中医学では「肺は一身の気をつかさどる」と言います。中国の太極拳や気功だけでなく、日本のすべての武道でも呼吸を整えることを強調しますが、一身の気の動きを整えている訳です。

 鼻づまりはこの肺の宣発粛降が何らかの原因で失調した場合に生じます。たとえば寝冷えをしたら朝鼻がつまっていますが、これは寝ている間に寒邪が皮毛(体表)から肺に入って一過性に宣発粛降を邪魔したために生じるものです。この程度ならショウガ湯など肺を温めるものを飲むとすぐ治りますし、葛根湯加川芎辛夷といった漢方薬で治療することもできます。慢性のしつこい鼻づまりはこのような外邪(体の外から侵入する邪気の総称)ではなく、痰飲や肺熱などのような体の中に原因があることが多いのです。例えば肺熱が原因であれば辛夷清肺湯で、肺の熱を冷まして宣発粛降を回復させ結果的に鼻づまりを改善させるのです。