京都・漢方専門クリニック 

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当院は中医学を専門とする日本人の漢方専門医が保険診療を行っています。

耳鳴(耳なり)

耳鳴りの漢方医学的病態と治療について概説します。

A306_075.jpg 耳鳴りでお困りの患者さんは多く、既に耳鼻科や脳外科で検査を受けておられる方が多くいらっしゃいます。中にはメニエル病や脳の血管異常などの原因がはっきりしている患者さんもいらっしゃいますが、原因のはっきりしない方が多くいらっしゃいます。原因がはっきりしない耳鳴りももちろんですが、原因が分かっていても西洋医学的に有効な治療方法がない場合もあります。漢方治療はそのような患者さんにお勧めしたいと思います。

 耳鳴りといっても患者さんによって症状は様々です。まず、聞こえる音に違いがあります。高音でピーというような音、蝉が鳴いているようにジーっという音、ボイラーの音のようにゴーっという低音、ドッドッという拍動性の音など、患者さんによって聞こえ方が違います。また、常時鳴っている人もいれば、夜就床してから聞こえる人、疲労時のみ聞こえる人など、耳鳴りがする状況も人様々なのです。聴力低下や耳の穴が塞がっているといった症状を伴っている患者さんもいらっしゃいます。

 中医学の観点からすると、一般に高音の耳鳴りは虚証が主体、低音の耳鳴りは実証の患者さんに多い傾向があります。虚証の耳鳴りで多いのが、陰虚陽亢や血虚生風という証の患者さんです。臓腑でいうと肝や腎の陰血不足があり、それによって虚火や内風といった内生邪気が生じて耳鳴りが起こるのです。鎮肝熄風湯、天麻鈎藤飲、七物降下湯といった漢方薬を中心に治療します。実証の耳鳴りは、割と激しい音がして、精神的緊張や時間帯によってより強くなる傾向があります。実証の耳鳴りで多いのが、痰熱上擾や肝火上炎という証の患者さんです。黄連温胆湯、滌痰湯、竜胆潟肝湯といった漢方薬を中心に治療します。