京都・漢方専門クリニック 

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倦怠感(疲労感)

慢性的な倦怠感(疲労感)の漢方医学的な病態と治療について概説します。

A307_069.jpg だるい、疲れやすいといった症状は誰しも経験するものですが、慢性的な疲労感を感じている方は少なくありません。西洋医学的には様々な病気で倦怠感を自覚します。貧血、甲状腺疾患、肝臓や腎臓の病気、膠原病、時には悪性腫瘍が原因のことがありますから、医師の診察を受けて一般的な血液検査や尿検査でチェックを受ける必要があります。

A306_018.jpgしかし、実際には検査値は異常が無い方が多数です。食生活や夜更かし、ストレスといった現代の生活環境の影響が原因している場合が多いようです。逆に西洋医学はこのような現代人ならではの倦怠感や疲労感の治療には、なかなか有効な手がありません。


 中医学的には気虚(ききょ)と言われる気の不足状態では倦怠感を自覚します。気虚には他に食欲不振という代表的な症状があります。これは消化器系統を中心とする脾胃の気虚ですが、実は現代人の気虚は脾胃よりも肝腎に問題が多く、肝気虚や腎気虚が主体なのです。なぜなら、ほとんどの患者さんが食欲は正常(むしろ亢進気味)だからです。

 肝気虚では覇気(はき)が無くなるのが特徴で、要するにやる気が起こらないのです。また、食欲はあるのだけれども(むしろ亢進して甘いものを食べたがる)とにかく身体がだるく、朝の起床が辛いということも肝気虚の特徴です。腎気虚では持続力が無くなります。持続力といってもマラソンのようなものではなく、勉強や仕事など精神の集中力が持続しなくなるということです。ずっと座ったり立ったりしていると腰がだるくなるというのも腎気虚の症状です。肝気虚には黄耆、桂枝、細辛などを、腎気虚には熟地黄、山茱萸、杜仲といった生薬を中心に処方します。また、慢性的なストレスからくる肝気鬱結や、夜更かし習慣や目の酷使(長時間のパソコン作業など)からくる肝血虚などでも疲労感を自覚します。そのようなときには肝血を補う当帰や熟地黄などを配伍して治療効果を高めます。