京都・漢方専門クリニック 

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夜泣き(よなき)

夜泣きの漢方医学的な病態、漢方薬と簡単な小児針治療について概説します。

A307_027.jpg 赤ちゃんの夜泣きで悩んでいるお母さんは少なくないと思います。赤ちゃんの夜泣きにもいくつかの漢方医学的なタイプがあります。一つは赤ちゃんのストレスです。言葉で表現できない赤ちゃんはストレスの表現として夜泣きを起こすことがあるのです。

 まずは、十分なスキンシップができているか、授乳やミルクは過剰あるいは不足になっていないか、オムツはこまめに交換しているかなどをチェックしてみてください。

 体質的にストレスがかかりやすいお子さんでは、漢方医学的には肝気鬱結という気の流れの鬱滞状態になりやすいので、気の流れを回復してストレスを緩和する抑肝散や抑肝散加陳皮半夏といった漢方薬で治療します。二つめは心肝脾といった臓腑が虚弱なために睡眠中に魂(こん)が不安定になるタイプです。甘麦大棗湯で治療します。臓腑のうち心(しん)が高ぶり過ぎても夜泣きがおこりますが、これには心を安定させ精神を安んじる効果がある樋屋奇応丸(市販薬)が大変効果的です。どの処方が良いかは主として赤ちゃんの表情や顔色で決めます。これは漢方の望診(漢方医が目で見て診察すること)による方法です。

 漢方薬を吐き出して飲めない赤ちゃんには、小児鍼という針治療があります。赤ちゃんに針治療をするの?と驚かれるかもしれませんが、別に針を刺すわけではありません。小児針はヘラやローラーのような金属製の専用の器具で、赤ちゃんの体をなでたりさすったりするのです。大人と違って子供は気の流れが素早いためこのような微弱な刺激でも反応するのです。特にツボを気にする必要は無く、四肢や胴体を経絡(気の流れのルート)に沿って、コーヒースプーンの匙の部分で優しく摩ります。(コーヒースプーン小児針で十分です。)これだけでも、気の流れが改善しますので、気の流れが悪いタイプの夜泣きには効果がみられることがあります。