京都・漢方専門クリニック 

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胃痛(胃の痛み)

 ここでは胃痛(胃の痛み)の漢方治療について西洋医学との違いをふまえて概説します。

A306_095.jpg 胃のあたりの痛みを繰り返す患者さんは、一度は内視鏡や超音波検査を受けられることをお勧めします。慢性胃炎や胃潰瘍をくり返す患者さんではヘリコバクター・ピロリという菌が胃粘膜に住み着いていることが多く、これはピロリ菌が除かれないとなかなか良くなりません。この点は、漢方薬よりも西洋医学のお薬の方が勝っています。また、近年は減少傾向にあるとはいえ胃ガンのチェックは必要ですし、胃の痛みと思っていたら膵臓ガンや慢性膵炎だったというようなこともあり得ます。しかし、ピロリ菌も潰瘍も無いのに胃痛が続く場合には、西洋医学出来には却って治療が難しく、漢方治療をお勧めします。

 最近多いのは心理的ストレスによる胃痛です。患者さんは御自分の胃痛がストレスから来ているなと自覚している場合が多いようです。慢性的なストレスは肝欝気滞という情志の鬱滞からくる気の停滞を生じますが、これが胃の動きを邪魔して胃痛を生じます(肝気犯胃)。このような患者さんの問題は「胃」にあるのではなく、中医学でいう「肝」にあるのです。

 治療は逍遥散や柴胡疏肝散といった疏肝理気の漢方薬で治療し、心理的ストレスと胃の緊張を緩めるようにします。過食や暴飲暴食も胃痛を起こしますが、中医学ではこれを傷食(しょうしょく)と呼びます。このような患者さんの多くは胃熱をともなっていますから食欲が亢進して、また食べる、するとまた傷食して痛む、ということを繰り返すのです。保和丸のような傷食和胃の漢方薬で治療します。普段から冷たいものを飲み過ぎたり、生ものを食べ過ぎたりしている患者さん(過食生冷)は、胃が冷えて胃痛が生じます。これを胃寒証といいます。安中散のような漢方薬で胃を温めて痛みを治します。