京都・漢方専門クリニック 

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頻尿(おしっこが近い)

頻尿(おしっこが近い)の漢方医学的な病態と治療方法について概説します。

A307_060.jpg頻尿とは俗におしっこが近いという症状です。ビールやお茶といった利尿作用のあるものを飲んでもおしっこが近くなりますが、これは頻尿とは言いません。女性では膀胱炎の症状との一つとしても頻尿が現れます。正確には単純性膀胱炎あるいは急性膀胱炎といいますが、これは疾患別の膀胱炎の項目をご覧下さい。

中医学の臓腑経絡学説の観点からすると、尿を生成して蓄える作用は腎気の働きです。腎気は①気化作用によって体内の不要な水や老廃物を尿という形に濃縮させ、②固摂作用の働きによって膀胱の中に蓄えます。頻尿の漢方的な病態の一つは①の気化作用の低下によって尿が充分濃縮されないことです。治療は補腎化気という方法を用います。健康保険適応となる生薬としては、炮附子、熟地黄、山茱萸、茯苓といった腎気を補充しながら気化を促す生薬を中心に配伍します。

A306_130.jpg 腎以外に、肝も頻尿の病態に大きく関わっている患者さんがいます。肝の経絡(足厥陰肝経という気の流れるルート)は外陰部の尿道口を巡っています。肝経の気の巡りがなんらかの原因で失調すると、尿道の開閉が上手く出来なくなります。よく精神的緊張でおしっこが近くなる人がいますが、このような人は肝欝気滞という証の人に多く、ストレスや緊張で気滞が強まることで頻尿を感じます。肝経の気の流れを改善する柴胡、香附子、烏薬、白芍といった生薬を中心に配伍して治療します。また、肝経に湿熱邪気が欝滞している患者さんでは、頻尿や排尿時違和感といった症状を自覚することがあり、竜胆潟肝湯や二妙散といった処方を用いて治療します。このほかにも、膀胱湿熱や心小腸有熱による頻尿の病態もあり、六一散や導赤散といった別系統の処方で治療することもあります。ひとくちに頻尿といっても証は人様々ですから、漢方専門医の診察を受けて処方してもらうことをお勧めします。