慢性頭痛
頭痛の漢方医学的な病態と治療について概説します。
頭痛といってもその内容は患者さんによって様々です。偏頭痛のように発作性にガンガン痛む人、こめかみが絞めつけられるように痛む人、頭重感のある人、頭がボーッと痛んで考えがまとまらない人、頭というよりもむしろ目の奥が痛む人、月経前だけ頭痛が起こる女性。これらは皆、漢方的な病態が異なりますから用いるべき生薬や漢方薬も異なります。
例えば偏頭痛のような発作性の激しい頭痛は肝陽化風、陰虚動風、肝陽上亢といったように中医学でいう「肝」と関わりのあることが多く、鎮肝熄風湯や天麻鈎藤飲、竜胆潟肝湯といったような処方で治療します。こめかみが絞めつけられるように痛む人の多くは胆経や三焦経といった経絡の気滞が関係し、しばしば精神的ストレスや日常の緊張状態が背景にあります。柴胡疏肝散や抑肝散といった処方で気の疏通を治療します。目の奥が痛い人の多くは、肝血虚という病態が背景にあります。夜更かしや長時間の目の酷使(パソコン、テレビ)は肝血虚を悪くしますので養生もしなければいけませんが、熟地黄、枸杞子、当帰、白芍などの生薬で肝血を補います。漢方処方では七物降下湯などが用いられます。
人によって証が異なりますから、漢方専門医の診察を受けて処方を決めてもらって下さい。