京都・漢方専門クリニック 

【健康保険適応】 

 診察予約 075−352−3737


当院は中医学を専門とする日本人の漢方専門医が保険診療を行っています。

便秘

体質別に慢性便秘の漢方治療について概説します。

 その前に、ここ数ヶ月の間に便秘が起こってきたという方は、必ず便潜血検査や大腸の検査を受けて下さい。必要な場合は消化器専門医に御紹介しています。大腸癌が便秘の原因の場合もありますから、これは絶対に見逃してはいけないのです。

A306_131.jpg 慢性の便秘は女性に多く見られます。若い女性に多いのは気秘(きひ)というタイプの便秘で、ストレスや夜更かしで気の流れが悪くなり大腸の蠕動が低下します。肩こりやお腹の張った感じを伴いやすいのも特徴です。治療は厚朴、檳榔子、枳実といった行気薬を中心とした漢方処方で治療します。もう一つ、若い女性に多い便秘は冷秘(れいひ)というタイプで、お腹が冷えることで大腸の蠕動が低下します。当然冷え症の方が多いので、お腹を温めてお通じをつけます。済川煎や大建中湯などを使用します。

 御高齢の方に多いのは虚秘(きょひ)というタイプです。虚秘には気虚と血虚(または陰虚)という二つのタイプがあり、気・血・津液のうち何が主として虚しているのかによって、用いる漢方薬や生薬が異なります。気虚の虚秘では大便を押し動かす推動力が低下しますから、黄耆湯のような補気を主体にした処方を用います。血虚や陰虚の便秘では腸に潤いが無くなり便が固くなって動かなくなります。中医学ではこの状態を無水舟停といいます。川の水が無ければ、舟が停止する、という例えです。潤腸湯や増液承気湯のような腸に潤いを与えて排便を促す漢方処方で治療します。大腸に邪熱が欝滞して大便と結びつくと熱秘(ねつひ)というタイプの便秘を起こします。麻子仁丸のような大腸の熱と便を瀉下する漢方薬で治療します。