京都・漢方専門クリニック 

【健康保険適応】 

 診察予約 075−352−3737


当院は中医学を専門とする日本人の漢方専門医が保険診療を行っています。

息切れ(呼吸困難)

息切れの病態と漢方医学的な解釈と治療について概説します。

A306_083.jpg 血液中の酸素濃度が減少すると人は息切れを自覚します。高山に登ると空気が薄くなって血中酸素濃度が低下して息切れしますが、平地にいても肺や心臓に問題があったり、貧血があると空気中の酸素をちゃんと体に取り込めないので息切れします。

 肺気腫、間質性肺炎、心不全といった病気の方では実際に血中酸素濃度が明らかに低下して息切れを自覚する人もいらっしゃいますが、安静にしていると無症状だけれども歩いたり階段を上ったりすると筋肉が多量に酸素を消費するために血中酸素濃度が不足して息切れを感じる方が多いと思います。患者さんによっては在宅酸素療法が必要な方もいらっしゃいます。しかし、血中酸素濃度が正常数値を示しているのに、息切れを感じる患者さんも少なくありません。

 息切れや呼吸困難のことを漢方では「喘証」といいます。喘とは「あえぐ」と読んで、英語ではdyspneaを指します。喘証にも様々ありますが、大きく分けて実喘と虚喘の二つのタイプがあります。

 実喘とは風寒、風熱、痰飲などの邪気の実在によるもので、去邪を主体にした漢方薬で治療します。風寒には麻黄湯や射干麻黄湯、風熱には麻杏甘石湯や五虎湯、痰飲には木防已湯などの処方が用いられます。

 虚喘は臓腑の気が低下して生じる虚弱性の息切れです。肺気が虚している場合には補肺湯、腎気が虚して気を丹田に納めることができず息切れする場合には都気丸のような処方を中心として治療します。実際の臨床では実喘と虚喘が混在している患者さんが多く、個々の患者さんの証によって生薬を加減して治療を行います。