京都・漢方専門クリニック 

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麻痺(片麻痺)

ここでは主に脳卒中の後遺症による麻痺の漢方医学的な病態と治療について概説します。

A308_066.jpg 麻痺には運動麻痺と知覚麻痺があります。手足などの筋肉が動かなくなるのを運動麻痺、感覚が鈍くなるのを知覚麻痺と良い、しばしば両方一緒に起こります。脳卒中では左の脳に障害が起きれば右半身に、右の脳に障害が起これば左半身に麻痺症状が現れます。

 いずれも片側に麻痺が現れるので片麻痺といいます。脳出血であれ脳梗塞であれ、発症時には現代医学的な救急処置が必要です。脳出血は早く止血して脳の圧迫を防がないと命の危険にさらされますし、脳梗塞では速やかに血栓溶解療法を行えば後遺症を防ぐことにもなるからです。

 漢方治療の適応になるのは急性期を脱した脳卒中後遺症の患者さんです。リハビリの継続と合わせての漢方治療、場合によっては針灸治療をお勧めしています。脳卒中後遺症の患者さんの脈を診てみると、左右で明らかな違いがあります。麻痺側に濇脈(しょくみゃく)という、起伏が乏しく硬い感じの脈が深い部位に触れることが多いのです。これは中医学的には血脈の阻滞を表しています。西洋医学的には血管の障害は麻痺側と反対側の脳に起こっているのですが、脈診の変化は麻痺側に優位に出現するのです。治療は活血通絡を基本としますが、多くの場合体質的な虚弱を併せ持っている患者さんが多く、補気、補血を併用しながら活血通絡して麻痺を治療します。補陽還五湯などの漢方薬を中心に、患者さんの証に合わせて処方します。完全麻痺は経絡の疏通が完全に途絶えているため回復には時間がかかりますが、リハビリも行いながら根気よく治療を続けていけば症状の改善は期待できます。