消化不良
胃腸虚弱や慢性膵炎などによる消化不良の漢方治療について説明します。
胃もたれのことを消化不良と表現される患者さんもいらっしゃいますので、胃もたれの章を御覧下さい。
胃は初期消化を担いますが、本格的な消化吸収は小腸が中心になります。中医学では小腸の働きを「泌別清濁」としています。人体に必要な物質(清)と不要な物質(濁)に分別するということです。「清」は気・血・津液に変化して生命活動を支えます。「濁」は大便(糟粕)と小便として排泄されます。小腸の泌別清濁の働きは「脾」によって支えられています。脾気虚や脾陽虚といった状態では、泌別清濁ができなくなって下痢便の中に未消化の食物が混じるようになるのです。この状態を中医学専門用語では便溏(べんとう)と言います。
脾気虚の消化不良では啓脾湯や香砂六君子湯などで、脾陽虚の便溏では附子理中湯や四神丸などで治療します。