京都・漢方専門クリニック 

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第18話 望診とは 〜観て診断情報を得る〜

2006年8月4日金曜日(高知新聞連載より一部改変)

イラスト 高知新聞社 提供   

 漢方の四つの診察方法(四診)のうち、望診は医師が患者さんを目で見て診察する方法です。患者さんの容貌、表情、動作、舌、目の輝き、皮膚のつやなどの外見から漢方的診断(弁証)に至るための診療情報を得るのです。ですから、患者さんが診察室のドアを開ける時から診察が始まっています。

中医学18・望診.jpg そっと伏目がちに入ってくる人は気虚証(気の不足状態)や陽虚証(陽気が不足して冷えた状態)を伴っていることが多いのです。時にはスタスタッと歩いて椅子に腰掛ける人もいますが、もしこの人の白目に赤みが差していると肝熱証(五臓のうち肝に熱を持った状態)かなと疑います。

 耳たぶの大きい「福耳」の人は腎気旺盛で良兆ですが、耳たぶの色が白っぽく枯れたような色だと腎に問題があるのではないかと推測していくわけです。鼻先が赤く腫れぼったいひとは(お酒好きの人に多いのですが)脾という消化器系に湿熱が鬱滞しています。爪に縦筋が目立つ人は肝血虚証が、爪の色が暗い人は瘀血(おけつ:血の循環失調)が考えられます。

 望診の中でも一番重要なものは舌診です。漢方の診察を受けるときにはいつも「ベロ出してー」と言われるでしょう。医師はただボーっと見ているのではなく、舌形(舌の大きさや形態)、舌質(舌粘膜自体の色調など)、舌苔(舌粘膜の上に乗っている苔の色や厚さ)、舌態(舌の動き)といったそれぞれのポイントごとに意識的に観て、漢方的診断に至るための診療情報を得ているのです。

 ちなみに、舌の苔はよく変化します。食べ過ぎや二日酔いの時、お腹を壊した時のご自分の舌を鏡で見て下さい。普段と変わっているはずです。