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第13話 朝食べない子ども 〜前夜の過ごし方が鍵〜

2006年6月30日金曜日(高知新聞連載より一部改変)

イラスト 高知新聞社 提供   

中医学13・子ども.jpg ここ四回の連載の内容を振り返りながら、子どもに焦点を当てて考えてみましょう。

 「子どもは風の子」と言われます。風がビュービュー吹いても子どもは薄着でいい、という意味ではありませんよ。五行(木火土金水)の中に五気というものがあります。木は風気、火は熱気、土は湿気、金は燥気、水は寒気です。つまり、風の子というのは五行のうち木が旺盛な存在ということです。

 木は伸長するとか、風に揺れるとかいった属性を持ち、五臓では肝です。ですから、伸び盛りで、キャーキャー言いながら走り回る子どもというのはそもそも木の属性を持っているものなのです。

 子どもさんがお母さんに連れられて来て診察いすに腰掛けると、さっそくうれしそうにクルクル回っています。時々、靴で診察机を軽くけってポンポン鳴らしてご機嫌です。お母さん方は、行儀が悪いとしかったり、申し訳なさそうに「すみません」とおっしゃいますが、「子どもはこんなもんですよ」と言っています。風(木)の子だからそれで良いのです。落ち着きがなさ過ぎるのは肝の過剰亢進などの問題点を持っている場合もありますが、逆におとなし過ぎる場合にも問題があるのです。

 昨今、文部科学省が中学三年生を対象に調査したデータで、朝食の摂取状況とペーパーテストの結果との関係というものがあって、パンフレットになっています。朝食を食べている生徒が各教科とも成績が良いとの結果で、挿絵の女の子に「朝ごはんを食べて成績アップだね!」と言わせています。しかし、これは原因と結果をはき違えています。むしろ、朝ごはんも食べられないほどの体だから、授業にも集中できないということでしょう。自然と朝ごはんが食べられる体質に持っていく養生が大切なのです。

 その鍵は、前日の夜の過ごし方にあるということは、過去四回の連載を読まれた読者の皆さんはご理解できるでしょう。夜腎を損ねることなく、朝肝にバトンタッチして一日をスタートできるようにするためには、早寝すること、夜食を控えることです。

 えっ、それでも朝がつらいって?いい方法をお教えしましょう。
 朝、まどろみながらでも構いませんから、布団の中で両足首の関節を動かしましょう。交互にクルクル回したり、上下したり。足関節は強力な靱帯(筋)が発達している部位で、ここを動かすことは肝を刺激します。足首から朝の号令が全身に伝わりますよ。
 子どもも大人も、お試しあれ。