京都・漢方専門クリニック 

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当院は中医学を専門とする日本人の漢方専門医が保険診療を行っています。

花粉症

花粉症の漢方治療について解説します。

A306_024.jpg院では花粉症の漢方治療に関して、昨年からそれ以前とは違った漢方的アプローチを取り入れました。従来の方法でも、一定の有効性は見られましたが、どうしても症状が改善しにくい患者さんがいらっしゃったためです。

花粉.jpg スギやヒノキの花粉を吸って花粉症が起こる人と、起こらない人がいます。また、花粉症は主にⅠ型アレルギー反応が関与しているとされていますが、Ⅰ型アレルギーの指標とされる血中IgEといわれる免疫物質の値が高くても症状は軽い人もいますし、逆にIgEの数値が低いのに症状の重い人もいます。この個人差は何に由来するのでしょうか。まだ現代医学的にもこの個人差の原因については十分明らかになっていません。

 それでは漢方医学的にこの個人差はどう解釈されるのでしょうか。花粉症の患者さんの漢方診療に従事してきて、最近あることに気が付きました。手足末端がただただ冷えやすい患者さん(陽虚肢冷)と、冷えはあるけれども火照りやのぼせの様な熱証を伴う患者さん(寒熱錯雑)では、奏功する漢方処方が全く異なることです。一部の患者さんはこのどちらにも属さない陰虚陽亢や血虚生風のタイプですが、8-9割の患者さんが陽虚肢冷あるいは寒熱錯雑に属するようなのです。

 陽虚肢冷、つまり陽気が少なく手足まで達することができないために手足が常に冷える患者さんの花粉症はなぜ起こるのでしょうか。このような患者さんでは気の通路としての皮膚や脈が通じ難くなっている(だから手足が冷えるのですが)ために、行き場を塞がれた陽気が顔面に向かって氾濫してくることで、鼻や目にアレルギー性の炎症が起こるのだと解釈しています。この時、スギやヒノキの花粉は原因ではなく、(陽気の氾濫を顔面部に誘導するための)誘因に過ぎません。本質的な問題は、花粉よりも患者さんの身体にあります。陽気の氾濫は痰飲(普段からの菓子パン、乳製品、冷飲冷食などで形成されます)を伴って上昇してくるので、鼻水や涙(漢方的には痰飲)が溢れ出てくることになります。治療は陽気の疏通を改善させて手足など全身に満遍なく陽気を供給することで、顔面への陽気の氾濫を治めることです。桂姜棗草黄辛附湯を主体として、個々の患者さんの特徴に配慮して加減して処方します。処方が合っていると速効性があり、しばしば翌日やその日のうちから症状が改善します。

 一方、寒熱錯雑の患者さんでは、手足は冷える(寒証)けれども顔面や上半身が火照るなどの症状(熱証)が併存しています。このような患者さんには上述の様な処方は全く効きません。冷えと熱と両方に対処しながら、顔面への虚火の上攻を鎮める必要があります。烏梅丸や封髄丹を主体として適宜加減して処方します。花粉症といっても人それぞれ病態が異なりますから、やはり漢方的な証に基づいて処方を決める必要があるのです。

 アレルギーの体質を改善するための食養生も大事です。当院のHPからダウンロードできますのでご活用下さい。

Doticon_grn_Download.pngダウンロードはこちら 「アレルギーを治す食養生」 [ch0]