京都・漢方専門クリニック 

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胃炎

 慢性胃炎の病態と漢方治療について概説します。

A306_097.jpg 胃炎には急性胃炎と慢性胃炎があります。急性胃炎はストレス、消炎鎮痛剤の副作用、飲酒、暴飲暴食などによって起こる一時的な胃粘膜の炎症です。それらの原因を除去して適切な治療を受ければ速やかに治ります。漢方薬では半夏瀉心湯や黄連解毒湯など幾つかの処方があります。

 漢方治療を希望される胃炎の患者さんの多くは慢性胃炎に属する方だろうと思います。近年の研究で、慢性胃炎の大部分がピロリ菌という特殊な細菌によって起こることが分かってきました。胃粘膜は塩酸を分泌して強い酸性状態ですから普通の菌は生存できないのですが、ピロリ菌は自らアンモニア(アルカリ性)を作り出して、胃酸から身を守ってずっと居座り続けるのです。

 ですから、先ずは内視鏡検査で慢性胃炎と診断された方でピロリ菌感染が確認された方は、ピロリ菌の除菌療法を受けられることをお勧めします。(ピロリ菌保菌者は胃癌の発生率が数倍高まりまることもお勧めする理由の一つです。)この除菌療法にはプロトンポンプ阻害剤という胃酸を緩める薬に通常2種類の抗生物質を併用して行います。除菌率は95パーセント以上ですから確率は極めて高いです。ただ、問題はピロリ菌が除菌された後、胃粘膜の萎縮が必ずしも改善するとは限らず症状が持続する人がいます。このような患者さんには漢方治療をお勧めします。

 慢性胃炎の主症状として多いのは、みぞおちの不快感、膨満感、食欲不振などですが、患者さんによって証が異なります。胃の気が虚して食後に痞える場合(胃虚食滞)は枳朮丸や枳実消痞丸などの漢方薬で治療します。胃が潤いを失って動きが悪くなっている場合(胃陰虚)には沙参麦門冬湯や益胃湯などの漢方薬で治療します。食べても痩せたままで太れない人(脾気虚)には六君子湯や香砂六君子湯などが用いられます。