京都・漢方専門クリニック 

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当院は中医学を専門とする日本人の漢方専門医が保険診療を行っています。

関節リウマチ

 リウマチには漢方治療が効果的です。まだ関節変形に至っていない軽症の患者さんでは比較的早期に疼痛や腫れを改善することが出来ます。既に指などの関節が変形してしまっている場合は、関節変形を元通りにすることは出来ませんが、疼痛を軽減させて日常生活の質を改善することに漢方治療の主眼を起きます。

 リウマチに代表される慢性の運動器(関節など)の疼痛を主体とする疾患を中医学の専門用語では痺症(ひしょう)と言います。痺症には痛痺(つうひ)、行痺(こうひ)、着痺(ちゃくひ)、熱痺(ねつひ)、尪痺(おうひ)があり、それぞれに病態と治療が異なります。実際にはこれらが混在している複雑な病態の患者さんが多くいらっしゃいます。漢方専門医の診察によって判断し、処方を決めます。

【痛痺(つうひ)】
 寒邪(かんじゃ)によって経絡が凝滞して気が巡らなくなり、強い痛みを生じます。冷えると悪くなるので患者さんは寒がりの人が多く、スーパーなどの買い物でも冷凍食品売り場には近づくのが嫌だという方もいらっしゃいます。
 治療は漢方薬で経絡を温め、寒邪を発散して除きます(散寒止痛)。附子、桂皮、細辛といった温めて経絡を疏通させる生薬を中心に配伍します。

【行痺(こうひ)】
 風邪(ふうじゃ)が経絡に入り気の疏通を傷害することで痛みます。痛む部位があっちこっち移動するのが特徴です。「昨日は右手が痛かったのに、今日は左肘が痛い・・・」といった感じです。
 治療は漢方薬で風邪を除きます(去風止痛)。防風、羗活、威霊仙といった去風作用のある生薬を中心に配伍します。

【着痺(ちゃくひ)】
 湿邪(しつじゃ)が経絡を阻滞して、気血が通じなくなって痛みを生じます。常に同じ部位が痛む固定性疼痛が特徴です。また、雨天や雨天前日、低気圧や台風接近時に痛みが強くなるという訴えもよくあります。
 治療は漢方薬で湿邪を除きます(去湿止痛)。蒼朮、薏苡仁、防已といった去湿作用のある生薬を中心に配伍します。湿邪に熱邪を伴っている患者さんは湿熱痺といい、更に黄柏、山帰来などを配伍します。

【熱痺(ねつひ)】
 熱邪(ねつじゃ)が経絡を阻滞するタイプですが、元々は上述の寒邪、風邪、湿邪などが長期間欝滞した結果、化熱して生じる場合も少なくありません。関節の熱感、発赤、腫脹が特徴で、触れると酷く痛みます。
 治療は漢方薬で邪熱を冷まします(清熱止痛)。金銀花、忍藤、知母、石膏などの清熱瀉火の作用のある生薬を中心に配伍します。激しい炎症が治まってきたら、背景となっている他の邪気や併存する瘀血や痰飲などを処理する処方に変更します。

【尪痺(おうひ)】
 複数の邪気が長年にわたって経絡を塞ぎ、更に瘀血(血の停滞)と痰飲(水の停滞と粘稠化)が併存した痰瘀互結の病態で生じます。関節が破壊されて変形や拘縮がみられるのが特徴です。「尪」という漢字は「脚が曲がっている」という意味で、歩行が不自由になっていることを表しています。尪痺の患者さんはしばしば体力的にも消耗しており、気血両虚や腎精虧損が併存しています。病態は複雑で治療は難しく、変形した関節を元に戻すことは出来ません。ただ、じっくり時間をかけて治療を続けることにより痛みを軽減し日常生活を改善させることは可能です。
 尪痺の治療は複雑で、その患者さんの証によって処方は異なりますが、通絡止痛作用のある動物性生薬が必要になる場合が少なくありません。