京都・漢方専門クリニック 

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当院は中医学を専門とする日本人の漢方専門医が保険診療を行っています。

白内障

 白内障の漢方医学的な病態と治療について概説します。

 中医学の臓象学説では「肝は目に開竅(かいきょう)する」と言います。五臓(肝心脾肺腎)のうち肝の働きが目に現れるという意味です。特に肝血虚という状態では、目の滋養が足りなくなりかすみ目、眼精疲労、眼の奥の痛みといった症状を起こします。しかし、白内障は瞳孔の部分にある水晶体の混濁であり、肝だけでなく腎の衰弱と関係が深く、多くは肝腎不足といわれる病態です。肝腎の不足は健常者でも年をとるにつれて徐々に進んでいく老化の過程でもあるのですが、患者さんによっては実年齢より早く進んでいくのです。

 治療の主体は補腎養肝明目で熟地黄、山茱萸、五味子などで補腎し、枸杞子、抗菊花などで養肝明目します。代表的な処方は杞菊地黄丸です。煎じ薬にすれば健康保険で処方できます。証によっては右帰丸や補中益気湯加減などで治療することもあります。ただし即効性は期待できません。長期服用して徐々に改善するか、あるいは進行を防ぐことを目指します。