京都・漢方専門クリニック 

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カゼ(風邪)

 カゼの漢方医学的な病態と治療について概説します。

 カゼは漢字で風邪と書きますが、中医学では「ふうじゃ」と読みます。風邪(ふうじゃ)とは六淫(風・寒・暑・湿・燥・火)の一つです。六淫は外因といって人体の外から襲ってきて病気を起こす原因となるものです。本当はカゼといっても、風邪以外の寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪(熱邪・温邪)によって起こるものもあるわけですが、筆頭格の風邪を取ってカゼと読ませているわけです。

 ですから六淫の種類によってカゼの病態や症状は全く異なり、その結果としてカゼの処方も違ってきます。また同一の邪気であっても、カゼの進行度によって病態、症状、処方は異なってきます。このように、漢方のカゼの治療は実は簡単ではありません。「カゼには葛根湯」などといわれますが、葛根湯が適応になるカゼは風寒邪気(風邪と寒邪がセットになったもの)のごく初期であって、他のカゼには他の処方が用いられることになります。西洋医学の感冒薬と異なり、漢方のカゼの処方は狙いを定めた治療ですから的を得れば即効性があります。

 一般に強い悪寒を伴うようなカゼは傷寒(しょうかん)と呼ばれ、寒邪や風邪が主体です。初期であれば葛根湯や麻黄湯、桂枝湯などが即効します。しかし、春や夏のカゼは、悪寒が無いかわずかで、すぐ喉が痛くなったり、咳が出たりします。このようなカゼの多くは温病(うんびょう)と呼ばれ、火邪(温邪、熱邪)や湿邪(湿温病)、燥邪、暑邪が原因となります。罹患初期であれば銀翹散、三仁湯、藿朴夏苓湯、桑杏湯、新加香薷飲などの処方で治療します。カゼをこじらせた場合は邪気は既に身体の奥に入っていますので、処方も変わってきます。このようにカゼの漢方治療は非常にダイナミックで漢方医としての熟練を要するものなのです。